一寸(読み)チョット

デジタル大辞泉 「一寸」の意味・読み・例文・類語

ちょっ‐と【一=寸/▽鳥渡】

[副]《「ちっと」の音変化。「一寸」「鳥渡」は当て字》
1 物事の数量・程度や時間がわずかであるさま。すこし。「―昼寝をする」「―の金を惜しむ」「今度の試験はいつもより―むずかしかった」
2 その行動が軽い気持ちで行われるさま。「―そこまで行ってくる」
3 かなりのものであるさま。けっこう。「―名の知れた作家」
4 (多くあとに打消しの語を伴って用いる)簡単に判断することが不可能なさま、または、困難であるさま。「私には―お答えできません」「詳しいことは―わかりかねます」
→少すこし[用法]
[感]《1の述部を省略したもの》人に軽く呼びかける語。「―、お客さん」
[類語](1)少し・少ない・少少・いささか・いくらか・いくぶん・やや・ちと・ちっと・ちょっぴり・なけなし・若干・一抹・心ばかり・印ばかり・形ばかり・少しく・心持ち・気持ち・多少・二三・少数・少量・僅僅・わずか・数えるほど・たった・ただ・たかだか・低い・手薄・少なめ・内輪・軽少・軽微・微弱・微微・微少・僅少・些少・最少・微量・ちびちび・一つまみ・一握り・一息・紙一重・雀の涙・鼻の差・残り少ない・ちょこっと・ちょこんと・ちょっこり・ちょびちょび・ちょびっと・ちょぼちょぼ・ちょろり・ちょんびり・ちょんぼり・ちらり・爪の垢・小口・ささやか・寸毫・プチ・末梢的・二次的・二義的・副次的・瑣末さまつ・枝葉・枝葉末節・些事さじ・細事・小事・細かい・細細しい・煩瑣はんさ・瑣瑣ささ・区区・ちょっとした・取るに足りない・たわいない・何でもない・愚にもつかぬ・益体も無い・埒らちも無い・高が知れる・些些ささ・些細ささい・幾ばく・たかが・ほんの・有るか無きか・一縷いちる・末節・無駄事・雑事・つまらない・無意味・下らない・問題外・部分的・派生的・卑小・眇眇びょうびょう・由よし無い・トリビアル(時間的に)少時・寸時・一時いちじ・一時いっとき・一時ひととき・ひとしきり・暫時・片時・しばらく・ちょっくら・ちょいと

いっ‐すん【一寸】

1 尺貫法の長さの単位。→寸
2 わずかな時間・距離・量、また小さい物事のたとえ。「一寸のひまも惜しむ」「一寸のすきもない構え」
[類語]寸分・何等なんら・全然・全く・一向・さっぱり・まるきり・まるで・少しも・からきし・ちっとも・皆目・一切・まるっきり・とんと・いささかも・毫も・微塵も・毛頭・露・更更・何も・何なんにも・何一つ・一つとして・到底・とても・全くもって・どだい・てんで・寸毫・毫末・夢にも

ちょ‐と【一=寸/▽鳥渡】

[副]《「ちと」の変化した語。「一寸」「鳥渡」は当て字》「ちょっと」に同じ。
「―一目いちもく見た所では」〈福沢・福翁自伝〉

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精選版 日本国語大辞典 「一寸」の意味・読み・例文・類語

いっ‐すん【一寸】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① ( 長さの単位 ) ⇒すん(寸)
  3. ② わずかなことをたとえていう。
    1. (イ) わずかな距離。
      1. [初出の実例]「一寸もひくなと申てござる程に」(出典:虎明本狂言・空腕(室町末‐近世初))
    2. (ロ) わずかな時間。
      1. [初出の実例]「一寸の暇を惜て法花経を読誦し」(出典:今昔物語集(1120頃か)一五)
    3. (ハ) わずかな量。小さなこと。ちょっと。
      1. [初出の実例]「披二三尺一而初学、摧二一寸一而憗記」(出典:本朝文粋(1060頃)九・於左監門宗次将文亭聴講令詩序〈大江以言〉)
      2. [その他の文献]〔晉書‐庾亮伝〕
  4. ③ 操人形の頭(かしら)の名。「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」の、一寸徳兵衛に使用したことによる。〔楽屋図会拾遺(1802)〕
  5. ④ 江戸時代、元祿期(一六八八‐一七〇四)ごろの、端(はし)女郎の一種。揚げ代が銀一匁の遊女。月(がち)。
    1. [初出の実例]「端女郎は鹿恋(かこひ)より下、みせ女郎といふなり〈略〉位は一を壱寸とも、月(ぐゎち)ともいふ」(出典:浮世草子・御前義経記(1700)一)
  6. ⑤ 三枚ガルタで、銭を計算するとき用いる語。
    1. [初出の実例]「牌子(はいし)に三枚にてするをかぶといふなり。是も目を十引(ひき)て、あとにて一寸二寸とかぞふるといへり」(出典:随筆・独寝(1724頃)下)
  7. ⑥ 近世、大工仲間の隠語で、銭百文のこと。
    1. [初出の実例]「ぜに百文を、一寸」(出典:新ぱん普請方おどけ替詞(1818‐30頃か))

ちょっ‐と【一寸・鳥渡】

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 副詞「ちっと」の変化したもの )
    1. ① 時間、物事の量や程度がわずかであるさまを表わす語。大げさでなく行なうという気持をこめていう。ちっと。すこし。
      1. [初出の実例]「曷鼻は、鼻のさきがちょっとあかりてかかうたぞ」(出典:史記抄(1477)一二)
    2. ② ( 打消のことばを伴って ) 事態や判断が簡単には成立しがたいことを表わす語。簡単には(…ない)、手軽には(…できない)。
      1. [初出の実例]「便侫(べんねい)といふ物のおそろしき事は邪智(じゃち)弁才たくましき物なれば中中ちょっとはしれぬもの也」(出典:談義本・世間万病回春(1771)四)
    3. ③ 差し障りのあること、具合の悪いことを曖昧にぼかして表わす語。「私はお酒はちょっと…」「『今夜どう』『今夜はちょっと…』」
  2. [ 2 ] 〘 感動詞 〙 ( [ 一 ]①の「ちょっと…」の陳述部分が略された用法から ) 軽く相手に呼びかけるときのことばとして用いる。ちょいと。「ちょっと、君」

ちょ‐と【一寸・鳥渡】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「ちと」の変化したもの ) =ちと(些)
    1. [初出の実例]「武蔵野にちょと出したる月の影 露もたまらずきられ人形〈西国〉」(出典:俳諧・物種集(1678))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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