堪能(読み)タンノウ

デジタル大辞泉 「堪能」の意味・読み・例文・類語

たん‐のう【▽堪能】

[名](スル)《「た(足)んぬ」の音変化。「堪能」は当て字》
1 十分に満足すること。「おいしい料理を堪能する」
2 気が済むこと。納得すること。
「せめてのことに様子を語り、―させて給たべかし」〈浄・五枚羽子板〉
[形動][文][ナリ]《に「堪能」の字が当てられ「かんのう(堪能)」と混同されてできたもの》技芸・学問などにすぐれているさま。「英会話に堪能な社員」
[類語]楽しむ・満喫・興ずる・享受・享楽・エンジョイ・興がる・興を添える・興趣が募る・興に入る・興に乗る・歓を尽くす・感興・歓楽・逸楽・安逸・交歓・合歓・満ち足りる・足る・満足・満悦・充足・飽満・自足・自得・会心・充足感・充実感・自己満足・本望・心行く・安住する・安んずる・甘んずる・十分・十全・嬉しい・楽しい・面白い・喜ばしい・喜び・愉快・痛快・結構・喜悦・有頂天・納得・慊焉けんえん・三平二じ満・思わしい・上機嫌・ご機嫌・御おんの字・足りる・足る・舞い上がる・満たす・気を良くする・溜飲りゅういんを下げる・言うことなし・気に入いる・意に適う・うきうき・うはうは・わくわく・いそいそ・ぞくぞく/得手・特技・専売特許・上手・得意・売り物・十八番・おはこ・お家芸・お株・お手の物・達者・巧者・得手物・有能・器用・多才・巧うまい・巧たくみ・巧妙・潰しが利く・能よくする・腕が立つ・敏腕・辣腕・腕利き・腕こき・腕っこき・手練てだれ・手利き・名人・達人・名手・妙手・エキスパート・巨星・巨匠・名匠・名工・大家たいか・権威・第一人者・泰斗たいと・耆宿きしゅく・大御所おおごしょ・オーソリティー・巧手・怪腕・凄腕・腕達者

かん‐のう【堪能】

[名・形動]
1 仏語。よくたえ忍ぶ能力。
2 深くその道に通じていること。また、そのような人や、そのさま。たんのう。
「和歌や能楽に―なところから」〈藤村・夜明け前〉
[類語]上手・楽しむ・得意・満足

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精選版 日本国語大辞典 「堪能」の意味・読み・例文・類語

たん‐のう【堪能・堪納ナフ・湛能】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] ( 「たんぬ(足━)」の変化した語。「堪能」「堪納」「湛能」はあて字 )
    1. ① ( ━する ) 満足すること。十分に飽き足りること。
      1. [初出の実例]「しはい亭主かな、人に酒を盛るならば、たんのうする程振舞はせいで」(出典:虎寛本狂言・悪太郎(室町末‐近世初))
    2. ② ( ━する ) 気分を晴らすこと。気の済むこと。また、なぐさめること。納得させること。
      1. [初出の実例]「せめてのことに様子をかたり、たんのうさせてたべかし」(出典:浄瑠璃・雪女五枚羽子板(1708)中)
  3. [ 二 ] ( 形動 ) ( 「たん」は「堪」の慣用音 ) 才能にすぐれ、その道に深く通じていること。習熟していること。また、その人。古くは「かんのう」。→堪能(かんのう)②。
    1. [初出の実例]「旁(かたがた)歌道茶事迄も堪能(タンノウ)に為渡(わたらせ)らるるが」(出典:興津彌五右衛門の遺書(1913)〈森鴎外〉)

堪能の語誌

( 1 )平安後期の「観智院本名義抄」に載っている「たんぬ(足━)」は、中世後期になると抄物や「日葡辞書」に「する」を伴った形で使われており、一語化したと見られる。この「たんぬ(する)」は江戸時代に入ると、「たんの(する)」の形に変化し、更に長音化し「たんのう(する)」となった。江戸中期の「志不可起」には「たんなふ」の見出しがあり、「足(た)んぬ」との関わりが述べられている。
( 2 )「堪能」は、漢語としてはカンノウと読み、その道に深く通じていることを表わす。「堪」にはタンの音はなく、「湛」にタンがあることからの誤用による当て字と思われる。


かん‐のう【堪能】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 仏語。よくものに堪える能力。〔大乗起信論〕
  3. ② ( 形動 ) (転じて)才能にすぐれ、その道に深く通じていること。また、その人。上手(じょうず)。→堪能(たんのう)。
    1. [初出の実例]「但其僧不レ限二年臘一選二堪能者一」(出典:類聚三代格‐三・承和四年(837)八月五日)
    2. 「園辺左衛門は、能狂言に堪能(カンノウ)のよし聞伝へ」(出典:浄瑠璃・新うすゆき物語(1741)上)
    3. [その他の文献]〔宋書‐明帝紀〕

堪能の語誌

→「たんのう(堪能)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「堪能」の読み・字形・画数・意味

【堪能】かんのう・たんのう

才能がある。〔顔氏家訓、勉学〕此(かく)の如き賢、~以外は(おほむ)ね多く田野の人なり。辭鄙陋、風操蚩拙(しせつ)、相ひ與(とも)に專固にして、堪能する無し。

字通「堪」の項目を見る。

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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