平(富山県)(読み)たいら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「平(富山県)」の意味・わかりやすい解説

平(富山県)
たいら

富山県南西部、東礪波郡(ひがしとなみぐん)にあった旧村名(平村(むら))。現在は南砺(なんと)市の中央部南寄りを占める一地区。2004年(平成16)東礪波郡城端(じょうはな)町、井波(いなみ)町、福野(ふくの)町、上平(かみたいら)村、利賀(とが)村、井口(いのくち)村、西礪波郡福光(ふくみつ)町と合併、市制を施行して南砺市となる。庄(しょう)川上流の五箇山(ごかやま)の一山村で、段丘と山腹緩斜面に集落が散在する。庄川沿いに飛騨(ひだ)(岐阜県)に通ずる国道156号が走り、中心地区の下梨(しもなし)で304号を分岐する。かつては祖山(そやま)から便船で祖山ダムの湖水を下って庄川町(砺波市)に通じた。大正末期からの庄川の電源開発で村の姿は変貌(へんぼう)し、下梨から下流は連続した湖水となっている。庄川左岸の高位段丘上の相倉(あいのくら)には合掌(がっしょう)造民家約20軒があり、合掌集落(越中五箇山相倉集落)として国の史跡に指定され、平村相倉伝統的建造物群保存地区として重要伝統的建造物群保存地区(歴史的町並保存地区)に選定されている。また、相倉は「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産(世界文化遺産)に登録されている。上梨(かみなし)地区の合掌造の村上家、田向(たむかい)地区の羽馬(はば)家は国の重要文化財。このほか、白山宮本殿は国の重要文化財)、加賀藩の流刑小屋(県指定有形民俗文化財)があり、白山宮の祭礼などに演じられる「麦や節(むぎやぶし)(麦屋節)」「こきりこ節」の芸能は「五箇山の歌と踊」として国の選択無形民俗文化財一帯は五箇山県立自然公園域で観光客が多い。

[深井三郎]

『『越中五箇山平村史』上・下巻(1983~1985・平村)』


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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