精選版 日本国語大辞典 「人」の意味・読み・例文・類語
ひと【人】
にん【人】
たり【人】
り【人】
と【人】
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動物の1種としてのヒトについては〈ヒト〉および〈人類〉の項,ヒトの身体については〈からだ〉の項をそれぞれ参照されたい。そのほか〈人間学〉〈人間科学〉などの項も参照。ここでは法律上の〈人〉について記述する。
法律上の,人とは広義には自然人natürliche Person(われわれのような生物学的存在)のほか法人juristische Personをも含めて,権利義務の主体をさすが,狭義には自然人のみをさす(ドイツ民法第1編第1章の〈人〉は広義,フランス民法第1編の〈人〉と日本民法第1編第1章の〈人〉は狭義)。自然人たると法人たるとを問わず,権利義務の主体(人)として法的に承認されていることの意味は,その名において財産権を取得してこれを保有し,当該の財産権の侵害に対しては国家裁判機関の助力を得て強制的にこれを排除しうることである。これに加え,狭義の人すなわち自然人においては,財産法上の関係においてのみならず,生命・身体・自由等々の人格的諸利益の完全な享受をまず保障され,あるいはまた,法的に承認され保護された家族関係上の地位に立ち,これに伴う諸利益の享受を保障されている。すなわち,〈人〉とは,自然人・法人のそれぞれが以上のような意味での法的保護を受けるに必要な資格を意味する法技術概念である。そして,この〈人〉という資格がすべての自然人に固有・当然の属性であるとする法体系や社会制度が出現したのは,すべての生物学的存在としての人間を自由平等なものとして取り扱うべきことを自明視する近代市民社会(イデオロギー的には近世自然法思想)においてであった。
→権利能力 →出生
執筆者:須永 醇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
法的な権利義務の帰属主体を、人あるいは法的人格という。それは、法的に構成された概念であって、生きている人間個人とは区別されなければならない。権利義務の帰属主体には自然人と法人とがある。
自然人とは、いわゆる人間であり、近代法ではすべての自然人が法的な権利義務の帰属主体となる。その始期は出生であり(民法3条1項)、終期は死亡である。胎児は原則として法的人格を有しないが、この原則を厳格に貫くと、胎児の不利益が甚だしいので、民法は、損害賠償請求、相続など重要な場合には、胎児をすでに生まれたものとみなした(同法721条、886条、965条など)。したがって、たとえば、胎児中に不法行為で父親を失った者が生きて生まれると、加害者に対して損害賠償を請求することができ、また、父親の財産を相続することができる。
法人は、自然人以外のものであって法的人格を有するものである。法人格の現実の担い手は、人の集合(団体)もしくは財産の集合(財団)である。前者を社団法人、後者を財団法人という。
[淡路剛久]
…しかし,体には広狭2種の意味合いがある。広義では生物体とほぼ同義であり,狭義ではヒトを中心とする高等動物の身体をさす。広義で,生物体としての体は,単細胞と多細胞,植物と動物とをとわず,すべての生物個体の物質的実体である。…
…(2)は型の曲線で,老化により死の起こる集団があてはまり,(3)は偶然の死因と年齢に依存した死因の複合した中間型の曲線で,多くの動物集団でみられるものである。ヒトの場合,社会の生活水準と工業水準とによって異なり,人口密度,衛生状態,栄養状態,医療などが曲線の形を決定し,社会が進歩するにしたがって曲線(1)から(3),さらに(2)の型へと移る。1825年にゴンペルツB.Gompertzによって,成熟後のヒトの死亡率が,年齢とともに指数関数的に増大することが見いだされた。…
…ヒト(人)ともいう。動物学上は霊長目真猿亜目ヒト上科ヒト科に属し,学名はホモ・サピエンス・サピエンスHomo sapiens sapiens。…
※「人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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