法・則・矩・式・典・憲・範・制・程・度(読み)のり

精選版 日本国語大辞典 の解説

のり【法・則・矩・式・典・憲・範・制・程・度】

〘名〙
[一] 従い守るべきよりどころ。のっとるべき物事。
① 上位の者からの教え。導き。特に、神や仏の教え。戒律
書紀(720)推古三二年四月(岩崎本訓)「僧尼未だ法律(ノリ)を習はぬを以て輙ち悪逆を犯す」
② 上位の者からの命令。おきて。法令。規則。
※書紀(720)推古三一年七月(岩崎本訓)「且其(か)の大唐国は法式(ノリ)の備り定れる珍(たから)の国なり」
下位の者がつき従うべき模範手本
※書紀(720)垂仁三二年七月(熱田本訓)「今より以後是の土物を以て生たる人に更易(か)へむ陵墓に樹(た)てて後葉の法則(ノリ)と為む」
④ 人一般に共通する道理。すじ道。心情
※書紀(720)顕宗即位前(図書寮本訓)「兄友(うつくし)ひ、弟恭(ゐやま)ふは、不易の典(ノリ)なり」
⑤ やりかた。方法。方式。型。
※書紀(720)神代下(鴨脚本訓)「基の宮を造る制(ノリ)は、柱は則ち、高く太くに、板は則ち、広厚(あつ)くせむ」
[二] はかるときのよりどころ。測定のもととなるもの。
① (程・度) はかった長さ。尺度
(イ) 距離。里程。みちのり。
日葡辞書(1603‐04)「ミチノ nori(ノリ) ゴリ ナリ」
(ロ) 寸法。さしわたしの長さ。「内のり」「外のり」。
※俳諧・七柏集(1781)四山「大さ五升ばかり也。〈略〉花入るうつはにせんとすれば其のりにあたらず」
② はかるときの基準とするもの。ものさし。定規
築堤の切り取りなどの斜面垂直からの傾斜の度合。また、その斜面。
[補注]語源的には動詞「のる(宣)」の連用形からと考えられるが、動詞「のる(乗)」と関連づける説もある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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