木・樹(読み)き

精選版 日本国語大辞典 「木・樹」の意味・読み・例文・類語

き【木・樹】

〘名〙
① 地上部の茎が木質化している多年生の植物。茎の大小長短により、低木灌木)と高木(喬木)の二類に分けるが、多くは高木をさしていう。樹木。木本
※古事記(712)下・歌謡「川の辺に 生ひ立てる 烏草樹(さしぶ)を 烏草樹の紀(キ)
② 古くは、草や海藻をも含めた植物一般をいう。
※古事記(712)上・歌謡「山県に 蒔きし 藍蓼(あたて)(つ)き 染(そめ)(キ)が 汁に」
③ 家屋、船、器具などの建築、建造、製作に用いる材木生木を加工したものをいう場合が多い。木材。用材
万葉(8C後)三・三九一「とぶさ立て足柄山に船(ふな)(ぎ)伐り樹(ぎ)に伐り行きつあたら船材(ぎ)を」
④ 燃料としての薪(まき)。たきぎ。
※浮世草子・西鶴織留(1694)五「布織て、碓(からうす)ふんで、子守して、木を割て」
⑤ (「柝」とも表記) 歌舞伎、浄瑠璃や相撲場で用いる拍子木(ひょうしぎ)。また、それを打つこと。開幕、閉幕、その他の合図や音響効果を出すためのもの。
※歌舞伎・勧進帳(1840)「あと木なしにて幕」
⑥ 香木。名(な)の木。
※浮世草子・傾城新色三味線(1718)四「木(キ)も目買程成をたきしめ」
⑦ 江戸時代、三味線の象牙の撥(ばち)をいう通人の語。
洒落本・傾城買四十八手(1790)真の手「ばちをとってひくまねをして『こいつァいい木(キ)だ』ぞうげを木と云も通言なり」
⑧ 磔(はりつけ)の刑に用いる十字架
有明集(1908)〈蒲原有明苦悩「神よ此身をば磔(キ)にも架(か)けね」
⑨ 拍子木を図案化した紋所。違い木、丸に一つ木、三つ木、三つ組木などがある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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