大阪[市](読み)おおさか

百科事典マイペディア 「大阪[市]」の意味・わかりやすい解説

大阪[市]【おおさか】

大阪府中央西部,大阪湾に臨む市。1889年市制。東京都,横浜市に次ぐ日本第3の大都市で府庁所在地。古代の難波(なにわ)の地で,中世から大坂とよばれた。西此花(このはな),天王寺浪速(なにわ),西淀川東淀川東成西成住吉大正福島都島城東生野阿倍野東住吉淀川鶴見住之江平野中央の24区からなる(政令指定都市)。北を淀川の分流神崎(かんざき)川,南を大和川で画され,市街は淀川,旧大和川のデルタ上,および南北に走る上町台地上に展開する。古くから瀬戸内海に面した畿内の要津として重要な位置を占め,応神天皇の大隅宮,仁徳天皇の難波(なにわ)高津宮,聖徳太子四天王寺孝徳天皇の難波長柄(ながら)豊碕宮,聖武天皇の難波宮(難波京)などが造営された。室町後期には蓮如によって石山本願寺(大坂御坊)が建てられ,寺内町の発達をみた。豊臣秀吉大坂城築城後は伏見町人が招かれ城下町が整備された。大坂の陣による豊臣氏滅亡後は天領となり,政治中心の江戸に対して,商業,金融,交通,経済の中心として栄え,17世紀後半から〈天下の台所〉と称された。井原西鶴近松門左衛門らによる町人文化も開花した。淀川の分流安治(あじ)川,尻無川,木津川や,豊臣・江戸時代に開かれた東横堀,道頓(どうとん)堀,長堀などの運河による水運も活発であった。今日,阪神工業地帯の中核として,東京都に次ぐ高い工業生産額をあげる。第2次大戦前は,明治以来の歴史をもつ紡績業などの繊維工業を中心としたが,戦中・戦後には鉄鋼,金属,金属製品,機械,電機,化学などの重化学工業の比重が高まった。北部の淀川沿岸一帯には化学,薬品,染色織物などの工業,西部の大阪湾臨海地帯には製鉄,金属,造船,車両,機械,化学などの重化学工業,東部の城東地区には中小企業の機械,鋳物,雑貨工業が分布する。伝統に富む商業活動も活発であり,特に卸売業の発達が著しく,なかでも船場(せんば)島之内の都心には,道修(どしょう)町の薬種街,本町,丼池(どぶいけ)筋の繊維街,松屋町筋の玩具(がんぐ)・菓子街,日本橋(にっぽんばし)筋の電気器具街等の問屋街が発達し,北浜,高麗橋,中之島堂島界隈は金融街を形成する。都心の心斎橋筋,戎(えびす)橋筋,周縁部交通中心の梅田,梅田新道,天神橋筋,上六界隈,阿倍野筋などは小売商店街,歓楽街。東海道本線・新幹線,関西本線,阪和線などが放射し,西日本における長距離交通の核心であるほか,阪急,京阪,阪神,近鉄,南海各私鉄,大阪環状線,おおさか東線,市営地下鉄の路線が発達して大鉄道網を形成,阪神高速道路,近畿自動車道も発達。大阪港は神戸港に次ぐ西日本の海運,外国貿易の中心。四天王寺,大阪城,難波宮跡,住吉大社などの史跡社寺が多く,天王寺公園,大阪城公園,中之島公園鶴見緑地長居公園,新歌舞伎座,国立文楽劇場天保山ハーバービレッジ大阪市立大学,大阪経済大学,大阪工業大学などがある。225.21km2。266万5314人(2010)。
→関連項目あべのハルカス大阪市立大学橋下徹御堂筋

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android