(読み)ヨロズ

デジタル大辞泉 「万」の意味・読み・例文・類語

よろず〔よろづ〕【万】

1000の10倍。まん。
数が非常に多いこと。たくさん。「の神に祈る」「の人々」
すべてのこと。万事。副詞的にも用いる。「相談事」「承ります」
種類や形がさまざまであること。いろいろ。
「―の事を泣く泣く契りのたまはすれど」〈・桐壺〉
[類語](3万事一切一切合財有りたけ有りったけ/(4さまざま各種種種諸種いろいろ多様多様化多面多面的多方面多岐多種多種多様多彩数数いろんなとりどり色とりどり種種くさぐさもろもろ百般万般諸般雑多各人各様十人十色千差万別マルチ広い幅広い手広い広範広範囲多角多元多元的多角的横断的複眼的おしなべて全般に一般総じて概して多くおおむね大概普通通例通常一体に総体およそあまね雑多事事物物種種雑多各様玉石混淆こんこう凡百ぼんぴゃく百態百事百千万端各般数多あまた数多すうた数次幾度等等諸相諸物山ほどざらあれこれ何やかや何だかんだ何のかの何くれ何くれとなくあれやこれやごちゃごちゃ枚挙にいとまがない十指に余るあの手この手エトセトラ

まん【万】

1000の10倍。また、非常に数の多いこと。よろず。
[類語]じゅうゼロ一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ九つとお

まん【万〔萬〕】[漢字項目]

[音]マン(呉) バン(漢) [訓]よろず
学習漢字]2年
〈マン〉
数の名。千の一〇倍。「十万・数万」
数が非常に多いこと。「万病万華鏡万年筆億万巨万
〈バン〉
数が非常に多いこと。すべて。「万国万事万全万端万難万能万民千変万化
決して。「万万
〈よろず〉「万屋八百万やおよろず
[名のり]かず・かつ・すすむ・たか・つむ・つもる
[難読]万年青おもと

ばん【万】

[副](多く下に打消しの語を伴う)
じゅうぶんに。完全に。「遺憾なきよう期すべし」
どうしても。なんとしても。万一。「やむを得ない理由が生じた時は」
[類語](1十分存分に思うさま良くみっちりみっしりとく万事万万ばんばん/(2まさかよもや

ばん【万】[漢字項目]

まん

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精選版 日本国語大辞典 「万」の意味・読み・例文・類語

よろずよろづ【万】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 数の単位としての万(まん)。厳密な数値としての万をいうより、数の非常に多いことを表わす。たくさん。あまた。
    1. [初出の実例]「墾(は)りて四万余頃(よヨロツあまり)の田を得」(出典:日本書紀(720)仁徳一四年是歳(前田本訓))
  3. ( 形動 ) 種類や形、様子などがさまざまであること。また、そのさま。いろいろ。種々。
    1. [初出の実例]「野山にまじりて竹を取りつつ万の事に使ひけり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「御祈などよろづに仕らせ給ふ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)月の宴)
  4. すべてのこと。全部そろっていること。万事。
    1. [初出の実例]「徳化(いきほひ)を弘めて、含(ヨロづ)の霊(もの)に覃(およ)ひ被らしむることを思ふ」(出典:日本書紀(720)推古一六年八月(岩崎本平安中期訓))
    2. 「人は万をさしおきて、ひたふるに徳をつくべきなり」(出典:徒然草(1331頃)二一七)

ばん【万】

  1. ( 「万」の漢音 )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙 数の単位。千の一〇倍。まん。よろず。また、非常に多くの数。
    1. [初出の実例]「番新の万(バン)を知るに至ずといへども」(出典:洒落本通言総籬(1787)叙)
    2. [その他の文献]〔史記‐淮陰侯伝〕
  3. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. 十分に。まったく。ばんばん。
      1. [初出の実例]「太郎が近所迷惑であるのを万承知しながら」(出典:街の物語(1934)〈榊山潤〉)
    2. どうしても。なんとも。もしも。万一。まん。
      1. [初出の実例]「彼れは脱隊者となりて其営を去りたり。思ふに間牒となりて帰り来ることは万(バン)無かるべしと」(出典:春迺屋漫筆(1891)〈坪内逍遙〉政界叢話)

まん【万】

  1. 〘 名詞 〙 千の一〇倍。ばん。よろず。また、ひじょうに多くの数。〔色葉字類抄(1177‐81)〕 〔漢書‐律歴志〕

よろずよろづ【万】

  1. 姓氏の一つ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「万」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 3画

(旧字)
13画

[字音] マン・バン
[字訓] さそり・よろず

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
旧字はに作り、虫の形。〔説文〕十四下に「蟲なり。(じう)に從ふ。象形」とし、〔段注〕に(たい)(さそり)の類であろうという。卜文・金文に数字の万として用いる。〔詩、風、簡兮〕に、殷人の万舞のことを歌っている。虫の名に用いた例はみえない。金文に「年」を「年(まんねん)」としるすことが多く、古くは通用していたのであろう。万は〔広韻〕にの異体字としてみえる。いまの常用字として用いる。

[訓義]
1. さそり。
2. 数の万に用いる。よろず、あまた。
3. 舞の名、万舞。

[古辞書の訓]
名義抄 ヨロヅ・アマタタビ 〔字鏡集〕 ヨロヅ・ムシ

[声系]
〔説文〕に声としてなど六字を収める。(れい)声の字。meatは(励)liatと関係のある字であろう。声の字は、金文ではと通用する。

[熟語]
万彙・万域万鎰万宇・万屋・万花・万家万貨・万化・万壑・万岳万感・万官・万機・万・万鬼・万幾・万騎・万竅・万鈞・万斤・万金・万区・万頃・万形・万・万言・万戸・万古・万故・万行・万劫・万国・万斛・万轂・万骨・万恨・万歳・万載・万盞・万死・万糸・万事・万室・万株・万樹万寿・万秋・万衆・万春・万庶・万緒・万畳・万祥・万鍾・万乗・万丈万象・万条・万人・万仞・万尋・万水・万枢・万数・万世・万生・万声・万姓・万石・万川・万銭・万千・万全・万善・万族・万卒・万朶・万態万代・万端・万重・万灯・万念・万年・万派・万万・万般・万品・万夫・万福万物・万兵・万別・万変・万法・万方・万邦・万木・万目万有・万籟・万雷万里・万流・万慮万緑・万縷・万類・万霊・万一・万億・万燭・万病・万舞・万分万葉
[下接語]
盈万・億万・巨万・鉅万・鍾万・振万・千万・吹万

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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