観音寺(市)(読み)かんおんじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「観音寺(市)」の意味・わかりやすい解説

観音寺(市)
かんおんじ

香川県西部、燧灘(ひうちなだ)に臨む市。財田(さいた)川、柞田(くにた)川が土砂を堆積(たいせき)してつくった三豊(みとよ)平野の中心をなす市。1955年(昭和30)観音寺町と高室(たかむろ)、常磐(ときわ)、柞田の3村が合併して市制施行。同年豊田、粟井(あわい)の2村、紀伊(きい)村の一部、1956年一ノ谷、伊吹の2村を編入。2005年(平成17)大野原町(おおのはらちょう)、豊浜町(とよはまちょう)と合併。JR予讃(よさん)線と国道11号、377号が通じ、高松自動車道には大野原インターチェンジがある。財田川右岸の琴弾(ことひき)山(58メートル)に、市の名前の由来となった名刹(めいさつ)観音寺(かんのんじ)がある。四国八十八か所の第69番札所で、国指定重要文化財の金堂や釈迦涅槃(しゃかねはん)像のほか仏像や絵画が多い。沿岸部は有明浜(ありあけはま)とよばれる砂浜で、市のシンボルともなっている東西122メートル、南北90メートル、周囲345メートルの寛永通宝の銭形砂絵(ぜにがたすなえ)がつくられている。琴弾山と有明浜は琴弾公園として国の名勝に指定されている。漁港ではエビイワシ水揚げがあり、かまぼこちくわ、てんぷら(揚げ物)などの水産加工品もある。平野部では稲作のほか、降水量が少なく温暖な気候を利用してレタス、タマネギなどの野菜の栽培が行われる。丘陵ではミカン栽培も盛ん。

 観音寺港沖約10キロメートルの伊吹島(いぶきじま)は漁業が盛んで、煮干し用のイワシの産が多い。その西の円上島(まるがみじま)では、国指定天然記念物の球状ノーライトを産する。面積は117.83平方キロメートル、人口5万7438(2020)。

[稲田道彦]

『『観音寺市誌 増補改訂版』(1985・観音寺市)』


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