荘園(西洋)(読み)しょうえん

百科事典マイペディアの解説

荘園(西洋)【しょうえん】

中世ヨーロッパに成立した聖俗所領の農業経営の単位であり同時に領主(独立の権力主体)の農民支配の単位。英国のマナーmanor,ドイツのグルントヘルシャフトGrundherrschaft,フランスのセニュリseigneurieなどが典型であるが,その様式や発展・消滅の過程は一様でない。8−9世紀に成立した古典荘園ビリカツィオンVillikationは,領主直営地と農民保有地からなり,前者は土地保有農民や荘園庁内の給養奴隷の賦役によって運営された。ただし穀物栽培の後進地帯やブドウ栽培地帯には,直営地を欠く非古典荘園的所領も多かった。荘園を構成する地所は数ヵ村にわたって散在し,荘園と村落とは空間的に一致しないのが通則であった。農奴を根幹とする荘園農民は各種の賦役・貢租を領主に給付し領主裁判権に服しながら,他方,村仲間団体(のちには村落共同体)の成員として慣習的な仲間団体(共同体)的規制にも服した(地条混在制,耕作強制,共同地用益制限など)。12−13世紀以降,農業生産力の上昇,剰余生産物の商品化につれて,領主直営地は農民に分割貸与されて縮小または解体した。労働地代(賦役)は生産物地代ないし貨幣地代へと推移し,農奴的諸負担も次第に消滅して古典荘園は地代(純粋)荘園に転化した。しかし領主的土地所有形態としての荘園は近代の市民革命まで存続した。→領主制
→関連項目グーツヘルシャフト封建制度

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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